こんにちは。つくばリサイタルシリーズです!
遅ればせながら、本日から第13回リサイタルの曲目紹介を進めていきます!今回はプログラム1曲目にあたります、ベートーヴェンピアノ三重奏曲第3番をご紹介します。
この曲は、ベートーヴェンが1793年から1795年にかけて作った曲で、アレグロ・コン・ブリオ、アンダンテ・カンタービレ・コン・ヴァリアツィオーニ、メヌエット クワジ・アレグロ、フィナーレ プレスティッシモの4楽章からなっています。
師匠であるハイドンの交響曲第95番 ハ短調 Hob.1:95をモデルに作られたといわれており、ベートーヴェンの交響曲へのあこがれを感じることができます。しかし、ハイドンを招待してのリヒノウスキー侯邸でのソワレ(夕方のコンサートのこと)で、ピアノ三重奏曲3曲が私的初演されたとき、ハイドンは全体を称賛しながらも、「第3番」ハ短調は一般の人々には理解されないだろうから出版しない方がいいと助言したと伝えられているそうです*。
また、ベートーヴェンは、1817年にこの曲を2本のヴァイオリン、2本のヴィオラ、チェロで構成する弦楽五重奏用に編曲し作品104として発表しました。
第一楽章 アレグロ・コン・ブリオ
トゥッティで始まる第一楽章は、三拍子のソナタ形式で二つの主題を中心に展開していきます。タイトルのコン・ブリオとはイタリア語で「いきいきと。元気に。」を意味する発想記号。短調ではありますが、3パートで決める部分は活気にあふれており、華やかで荘厳なお城の中のような雰囲気も感じられます。
第二楽章 アンダンテ・カンタービレ・コン・ヴァリアツィオーニ
第一楽章とはうってかわって全体に落ち着いた曲調です。ピアノの独奏に始まり、流れるような弦楽器の美しい旋律は聴く人を癒してくれるでしょう。中間部のピアノの細かい連符と弦楽器のピチカートが掛け合う場面とその前後のゆったりとした荘重な部分との対比が美しいです。
メヌエットとはフランス発祥の宮廷舞曲の一つですが、この曲の主題はあまり舞曲のような性格はありません。しかし、中間部は長調になり、ピアノが高音から音階を下るとそれに呼応するようにチェロが円舞曲のような旋律を奏でます。全体を通じてピアノと弦楽器の掛け合いが印象的です。
第四楽章 フィナーレ プレスティッシモ
情熱的な序奏に始まりますが、その後は引いては押してを繰り返す構成になっています。はたしてどんなフィナーレを迎えるのか注目しながらお聴きください。
*小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)28ページより
次回は、つくばリサイタルシリーズ実行委員会顧問である江藤光紀が今回のリサイタルのために作った新曲をご紹介いたします!
文責:大友、加藤