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2024年6月9日(日) 第2回TRSサロンシリーズ開催決定!

【第九】ベートーヴェン「歓喜の歌」交響曲第九番を解説!楽曲紹介 Part.4

今回の楽曲解説は、年末年始にぴったりなあの曲!

「第九」の名で親しまれている、ベートーヴェン作曲の交響曲第9番第4楽章「歓喜の歌」を解説します!

 

みなさん、この年末年始はいかがお過ごしでしたか?あっという間に2022年になり、気づけば三ヶ日も終わり…、第11回つくばリサイタルまであと3週間を切りました!!!

日本には年末に演奏されることでおなじみの「第九」を、世界トップクラスのピアノデュオが演奏します!

チケットも残り少なくなってきました。お早めにお申込みください!

 

「2台ピアノで奏でるオーケストラ~名曲を旅する~」

出演:中井恒仁&武田美和子ピアノデュオ

日時:2022年1月23日(日) 14時開演

料金:一般1,000円、学生無料!!!

チケットはteketからオンラインで購入できます↓↓↓

teket.jp

 

それでは、第11回つくばリサイタルで演奏される「第九」の解説に移ります。

 

1.作曲者 ベートーヴェン

1770年にドイツ中西部のボンに生まれたベートーヴェンは、宮廷音楽家の父から厳しい英才教育を受けて幼い頃から才能を発揮し、22歳でハイドンの弟子となりウィーンに移住しました。

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音楽の都 ウィーンの街並み

20代後半からは難聴に悩まされ、弟に向けて「ハイリゲンシュタットの遺書」を書くまでに至ったベートーヴェンですが、苦悩を乗り越えどん底から這い上がり、次々と名作を生み出すようになります。この頃の作品は、モーツァルトハイドンに代表されるウィーン古典派の形式を受け継ぎ発展させたものです。ベートーヴェンは、モーツァルトハイドンに並び、「ウィーン古典派」の三大巨匠と言われています。

中期の交響曲では、メヌエット(3拍子の穏やかな舞曲)に代えてスケルツォ(テンポの速い軽やかな曲)を導入するなど、従来のソナタ形式を飛躍的に発展させます。また、交響曲では暗い雰囲気で始まり明るいクライマックスへと向かう図式を初めて用い、のちのロマン派に大きな影響を与えました。

ベートーヴェンは、古典派を完成させるとともにロマン派の先駆けとなった人物であり、音楽の歴史を変えたビッグスターだったのです。

後期には完全に耳が聴こえなくなりスランプに陥りますが、古典派以前のバロック時代を牽引したバッハやヘンデルの音楽を取り入れて成功を収め、今回紹介する「交響曲第9番」や「ミサ・ソレムニス」などの名作を精力的に生み出し続けます。ベートーヴェンが56歳でその生涯を閉じたのは、第九が初演された2年後のことでした。

 

2.交響曲第9番とは?

正式名称は、「交響曲第9番 ニ短調 合唱付き 作品125」。日本では「第九」の名で親しまれ、大晦日に演奏されることで有名ですよね。この曲が作曲されたのは1824年。ベートーヴェンが作曲した最後の交響曲になります。

一般的な交響曲は「ソナタ ー 緩徐楽章 ー 舞曲 ー 終楽章」という構成ですが、第九は第2楽章が舞曲のスケルツォ、第3楽章が緩徐楽章(ゆったりしたテンポの楽章)と入れ替わっているのが特徴です。

さらに、第4楽章には皆さんご存知の通り合唱がついています。この形式はベートーヴェンが第九で革新的に用いたことがきっかけとなり、後世にもマーラーなどによって用いられるようになりました。この合唱の歌詞は、シラー作の詩「歓喜に寄せて」をアレンジしたものです。

第11回つくばリサイタルで中井&武田ピアノデュオに演奏していただくのは、この第四楽章です!2台ピアノでどんなサウンドになるのか楽しみですね。

 

3.第4楽章の「歓喜の歌」とは?

前述したように、「歓喜の歌」は第4楽章で合唱によって歌われ、演奏される第一主題のことです。「歓喜の歌」は、ドイツの詩人、フリードリヒ・シラーが1785年に初稿した「歓喜に寄せて」がもとになっています。

歓喜に寄せて」が作られたのは、フランス革命によってヨーロッパが「自由」に熱狂していた時代です。ベートーヴェンは1972年、30代の頃に初稿に出会い感動し、1803年の改訂版に曲をつけ、「歓喜の歌」として交響曲に取り入れました。現在でも、自由や平和の象徴として歌い継がれており、1985年にはEUで「欧州の歌」として採用されています。

合唱の冒頭には、「おお友よ、このような調べではなく心地よい歓喜に満ちた歌を歌おうではないか」という言葉がベートーヴェンによって付け加えられています。これは第一楽章から第三楽章までの音楽を否定し、歓喜の歌」にこそベートーヴェンの想いが込められていることを意味しています。

ここでは、歌詞の一部を抜粋して紹介します。皆さんは、この詩から何を感じますか?

喜びよ、美しい霊感よ
死後の楽園の娘よ
私たちは 情熱に陶酔し 足を踏み入れる
天の あなたの聖域へ

あなたの魔法が再び結びつける
時の流れが厳しく分裂させたものを
すべての人々は兄弟となる
あなたの柔らかい翼がとどまる場所で

(引用:MUSICA CLASSICA「ベートーヴェン「第九(歓喜の歌/合唱)」の歌詞と日本語訳」https://tsvocalschool.com/classic/o-freunde/ より引用)

 

ここまで、ベートーヴェン作曲「歓喜の歌」交響曲第9番第4楽章を解説してきました。聞きなじみのあるクラシック曲ですが、詳しく調べてみると、音楽史に大きな影響を遺した偉大な作品だということがお分かりいただけたのではないでしょうか?

今回はもちろん合唱の登場はなく、2台ピアノによる演奏です。この壮大な「歓喜の歌」が鍵盤の上でどのように表現されるのか、ぜひ注目してみてください!

 

文責:大吉(人文3年)

 

part5はこちら↓

 

recitaltsukuba.hatenablog.com