こんにちは!つくばリサイタルシリーズです。今回は5月21日(日)開催の第13回リサイタルから、2曲目にあたる「風変りなスケッチブックーピアノ・トリオのための」の曲目紹介をさせていただきます!
つくばリサイタルシリーズ実行委員会の顧問である江藤光紀先生は、毎回コンサートの
テーマに合わせて新曲を書き下ろしています。今回初演される「風変りなスケッチブック
-ピアノ・トリオのための」は3楽章から構成されており、三位一体となって音楽を奏で
る葵トリオのように、3つの楽章がお互いに作用しあい、相乗効果を生み出します。
第1楽章 「陽光に輝く渚で」
「眼前に広がる青い空と海。打ち寄せる波頭に波乗り。照り付ける日差しが眩しい。」
第1楽章では、特徴的なメロディーラインが何度も繰り返されます。また、3つの楽器
それぞれに時差を設けつつ同一のメロディーを演奏することにより、次々と浜辺に打ち寄
せる波が目に浮かぶようです。軽快なメロディーや次々と打ち寄せる波のイメージ、さら
には作曲者からのメッセージともいえる表題からも、これからの季節にぴったりな明るく
溌剌とした印象を受け取ることができます
第2楽章 「空を泳ぐ魚」
「薄暗い水底で暮らしている魚が、この世界がどうなっているのかを知りたくなった。魚
は水面へと上がっていき、さらに水から脱し宙を泳ぎ始める。」
第2楽章はゆったりとした曲調から始まります。時折耳に入ってくるピチカートは、魚
が水面から飛び出ようと跳ねた音なのかもしれません。
自分の住んでいる世界から抜け出し宙を泳ぎ始めた魚ですが、果たして空と水中はどち
らがより広い世界なのでしょうか。私たちは、世界がどうなっているか知りたくなったと
き、新たな世界へ飛び出すことができるでしょうか。結局この魚は、この世界がどうなっ
ているのか知ることができたのでしょうか。
第3楽章 「舞踏と陶酔」
「いにしえの村祭り。粗野なステップを踏む男たちと優雅に舞う女たち。宴は陶酔の中で
クライマックスに達する。」
第3楽章は、荒々しさと優雅さの対比に魅力があります。宴の中で、荒々しい男たちと優
雅な女たちが掛け合い、お互いに気分が高まりあっている様子が浮かび上がります。
「荒々しさ」と「優雅さ」は、一見するとかけ離れた要素に思えますが、根底にあるのは
両者とも「情熱」なのではないかとも思われます。作曲者や演奏者の「情熱」までもが混
ざり合うとき、この曲全体の完成として、クライマックスを迎えます。
いかがでしたでしょうか。葵トリオがこの新曲をどのように弾くのか……わくわくしてきますね!最後になる次回はラフマニノフの重量級作品「悲しみの三重奏曲第2番」の曲目紹介をお届けします!
文責:加藤、関