つくばリサイタルシリーズ公式ブログ

第10回記念公演は5月22日(土)、つくばカピオにて!

カルテット・アマービレが語る弦楽四重奏の魅力とは(インタビュー前編)

 

ARDミュンヘン国際コンクール3位入賞やヤングコンサートアーティスツ(YCA)1位受賞など、国内外で飛ぶ鳥を落とす勢いの弦楽四重奏団カルテット・アマービレさんにインタビューを行いました!

 

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カルテット・アマービレ(左から笹沼さん、中さん、篠原さん、北田さん)

練習の合間にお時間を割いていただき、実行委員の4人とzoomを使って約1時間もお話をしていただきました。第10回つくばリサイタルで演奏される楽曲の印象や、弦楽四重奏の魅力、今後の展望などについてたっぷりと語っていただき、とっても興味深いお話を聞くことができました。前半と後半の2回にわたって、その模様をお伝えします!

 

 

Q1. 今回は江藤光紀先生の個展ですが、楽曲の印象はいかがですか。

篠原)前回(第8回)に第三番を演奏させていただいたときは、演奏しながらインスピレーションがすごく湧いてくるような楽しい作品だと感じましたね。江藤先生にもいろいろとお言葉をいただきながら自分たちで音作りを楽しめたと思います。今回初めて演奏する一番と二番にも、三番でも感じたような江藤先生にしかない和音やフレーズがたくさんあるんですよね。これから弾きこんでいく途中ですが、すごく楽しんでいます。

 

北田)前回演奏した三番には、下の3人で馬のようなリズムを演奏するところがあるんですけど、こうしたところは本当に江藤先生の作品の特徴だな、と感じます。あと、それぞれのパートに見せ場があるというのが、とても楽しいところです。

 

)なんといっても、メロディーがすごくかっこいいんですよね。題名もいろいろ付いていて、情景が思い浮かぶような感じで。なんというか、日本的なかっこよさや渋さがあるんんですね。私たち日本人に染みこんでいるようなメロディーやリズムが楽曲の中にあるなと。これから弾きこんでいって、本番でどんなハーモニーができるかすごく楽しみです。

 

笹沼)3曲すべて弾いてみて、二番は前回演奏した三番に共通するようなメロディーがあるけれど、一番はどちらかというと最近の現代音楽らしい曲だな、と思いました。一番は、ちょっとミニマルな要素もあり、リズムがずっと続いているような曲調で、しかも単一の楽章の曲なんですよね。これは2015年に書かれた曲ですが、そこから旋律と和声がしっかりしているような世界観に移られたというのが興味深いですね。最近の現代的な作品は、調性が崩壊していっていろんなものが最終的にそぎ落とされてこういう形になっているのですが、江藤先生は逆の時系列で作風が移っているというのが興味深いなと。

それに加えて、二番と三番は各楽章にイメージがとっても浮かぶような副題がついています。この二つの作品に関しては、「昭和っぽい」なってみんな共通して感じて。すごくノスタルジックなんですよね。僕たちは全員平成生まれなんですが、4人ともが知らない時代の昭和の風景を想起させるようなところが本当に不思議ですよね。映像を見せられているわけではないのに。そういうノスタルジックなところが、江藤先生の作品の魅力の一つだと思います。

 

Q2. 弦楽四重奏について教えてください。

笹沼)前回僕たちがやったのって2019年でしたっけ?

(委員)2020年の1月です。

笹沼)えっ、そんな最近なの?

篠原)コロナになる前だったんだ。

(一同)驚き

笹沼)え、けっこう懐かしいメンバー(実行委員)いるよね(笑)

(一同)笑い

)ええと、弦楽四重奏の魅力ですよね。長い年月をかけてやっていると、他の編成にはないカルテット独特のシビアさがあると感じていて。オーケストラのような大きな編成からだんだん縮小されていった最後の形が弦楽四重奏なので、音楽の核となっていることをすごく感じますね。

北田)私はやっぱり、レパートリーがほんっとうにいい曲ばっかり、というのがカルテットが大好きな理由です。

笹沼)前回のインタビューで僕らなんて言ってました?蓋開けてみてまったく違うこと言ってたらつらいよね(笑)。

北田)同じなのもつらい(笑)

笹沼)まったく同じなのもつらい、でもブレてないのかな。

)たしかに、ブレてないってことだね(笑)

 

――― 弦楽四重奏ならではの一体感

笹沼)常設でやっていく弦楽四重奏っていうのは、究極的には完全に一体となった形というのが求められるので。だからと言って、何かすり寄せて行ってしまうってよりは、4人が同じ方向を向いて一つの響きや作品全体を構築していくものなんですね。この一体感というのが、他の編成と方向性がまったく違ったものだと思っていて。例えば、常設じゃない一期一会のアンサンブルや室内楽だと、それぞれが個性を出しながら対話を楽しんで、お客さんも奏者たちが作品の中でそれぞれの個性を出し合うのを聞いて楽しむというのが魅力だと思います。でも四重奏というのは、あたかも一つの集合体で聞こえてるというのが最終的に求められるんですよ。ご覧の通り、見かけも性格もまったく違う4人がそれをやるというのは、それはそれで作業として面白い…でも大変な点でもあるし…。だから、心を開いてやらないとなかなかね。それだけ聞いてくださる方も、けっこう集中力が要りますよね。四重奏を聞くというのは。

 

 ――― カルテットは職人技

(委員)中さんがおっしゃた「シビア」というのが気になったのですが、ソロと四重奏のシビアさはどのくらい違うものですか?

)いや、全然違う。一人での緊張感ももちろんあるんですけど、カルテットは究極の形なので、スキがないというか、隅々まで無駄がないんですよね。だから、全体を研究し尽くしていないと、それこそ一つの生き物にならない。そういうところに緊張感があります。

笹沼)ソロと言っても、無伴奏のソロと、オーケストラと一緒にやるコンチェルトと違ったジャンルがありますよね。その二つはやっぱり頭も身体も使うところが違うんです。コンチェルトにはオケと指揮者がいて、その第三極的な立ち位置にソリストがいる。そのトライアングルは必ずしも調和ではないというか…

北田引っ張る、みたいな?

笹沼)そう。引っ張っていったり、対決したり。

(委員)それは、私も見ていて面白いところです!

笹沼)ですよね。

)聴衆の皆さんにはわからないと思うんですけど、カルテットは職人技をやっているという感覚があって。コンチェルトは、対決みたいな華やかなところがあるんですけど。でもカルテットは、目には見えないような地味な作業をしていて。

笹沼)一つ一つの作業がめちゃくちゃ地味。

(一同)同意

)それは聞いていてはわからないところなんですけど、そこを極めていくのが求められるんですよね。

 

 ――― 習作と最晩年の作品

笹沼)これはよく言ってることなんだけど、弦楽四重奏の作品って、作曲家が習作として音楽の骨組みをつくって自分の個性を映し出すときに書くものでもあり、オペラやシンフォニーとかを書いたあとの最晩年に遺される作品でもあるっていう面白い傾向があって。

(委員)ベートーヴェンとかもそうですよね。

笹沼)そうですよね。あとはフォーレとかも。そこにはきっと、弦楽器4本の響きというもの以上のメッセージが込められているように感じているんです。だから、シンフォニーのように聞こえてくることもあれば、滔々と一人で一本の楽器が鳴っているように聞こえる瞬間もあって。そういういろんな面があるんですよね。だから、実はそんなに地味じゃない(笑)。本当は、面白いジャンルなんです。そこが、僕らは上手くやっていけたらいいな、と思っているところです。

(委員)弦楽四重奏って、生まれるところと帰るところって感じなんですね。

(一同)まさにそんな感じです。

 ―― 生涯をかけて

篠原)北田さんが言ってたように、カルテットの作品ってすごく多くて。私たちも組んでから6年経ってるんですけどまだ全然レパートリーが少ないんですね。まだまだこれから勉強していけるところが魅力的です。

笹沼)まだ主要なレパートリーのうちの10%もやってないよね。

(一同)そうだね。

篠原)いろんな作曲家が弦楽四重奏を多く残してくれているので、それを4人で勉強していくうちに、この作品のここが影響しているんだ、とか見えてくるものがすっごく多くて…。そうした一つ一つが勉強になって、アマービレの音を積み重ねていけてるな、という実感がとてもありますね。まだ6年目ですけど、一生涯勉強できるというのが弦楽四重奏の魅力かな、と思います。

 

 

ここで前編はいったん終わりです。みなさん、いかがだったでしょうか。

第8回のときには、桐朋音大にお招きいただいてインタビューと練習見学をさせていただきました。その時のご縁で、何人かの委員はすっかり顔なじみにもなり、委員をやっていてとっても良かったなと感じます!

 当時(2019年12月)のインタビューはこちらです。

recitaltsukuba.hatenablog.com

 

前回に引き続き、今回もカルテット・アマービレの躍進の秘訣が存分に詰まっていたインタビューになったのではないでしょうか。後編では、コロナ禍での音楽活動や今後の展望、国内外のカルテットのあり方についてなど、濃密な内容になっております。

 

第10回つくばリサイタルまで、約1週間になりました。まだまだ申込を受け付けております。十分な感染対策を実施して行います。

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文責:大吉(人文3年)