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サロンシリーズ第一回は塙美里サクソフォン・リサイタル! 5月29日(日)アルスホールにて! 購入:teket.jp/1479/11731

【インタビュー前編】カルテット・アマービレが語る弦楽四重奏の魅力

 

ARDミュンヘン国際コンクール3位入賞やヤングコンサートアーティスツ(YCA)1位受賞など、国内外で飛ぶ鳥を落とす勢いの弦楽四重奏団カルテット・アマービレさんにインタビューを行いました!

 

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カルテット・アマービレ(左から笹沼さん、中さん、篠原さん、北田さん)

練習の合間にお時間を割いていただき、実行委員の4人とzoomを使って約1時間もお話をしていただきました。第10回つくばリサイタルで演奏される楽曲の印象や、弦楽四重奏の魅力、今後の展望などについてたっぷりと語っていただき、とっても興味深いお話を聞くことができました。前半と後半の2回にわたって、その模様をお伝えします!

 

 

Q1. 今回は江藤光紀先生の個展ですが、楽曲の印象はいかがですか。

篠原)前回(第8回)に第三番を演奏させていただいたときは、演奏しながらインスピレーションがすごく湧いてくるような楽しい作品だと感じましたね。江藤先生にもいろいろとお言葉をいただきながら自分たちで音作りを楽しめたと思います。今回初めて演奏する一番と二番にも、三番でも感じたような江藤先生にしかない和音やフレーズがたくさんあるんですよね。これから弾きこんでいく途中ですが、すごく楽しんでいます。

 

北田)前回演奏した三番には、下の3人で馬のようなリズムを演奏するところがあるんですけど、こうしたところは本当に江藤先生の作品の特徴だな、と感じます。あと、それぞれのパートに見せ場があるというのが、とても楽しいところです。

 

)なんといっても、メロディーがすごくかっこいいんですよね。題名もいろいろ付いていて、情景が思い浮かぶような感じで、日本的なかっこよさや渋さがあるんですね。私たち日本人に染みこんでいるようなメロディーやリズムが楽曲の中にあるなと。これから弾きこんで、本番でどんなハーモニーができるのかがすごく楽しみです。

 

笹沼)3曲すべて弾いてみて、二番は前回演奏した三番に共通するようなメロディーがあるけれど、一番はどちらかというと最近の現代音楽らしい曲だな、と思いました。一番はちょっとミニマルな要素もあり、リズムがずっと続いているような曲調で、しかも単一の楽章の曲なんですよね。これは2015年に書かれた曲ですが、そこから旋律と和声がしっかりしているような世界観に移られたというのが興味深いですね。最近の現代的な作品は、調性が崩壊していって最終的にいろんなものがそぎ落とされてこういう形になっているのですが、江藤先生は逆の時系列で作風が移っているというのが興味深いなと。

それに加えて、二番と三番は各楽章にイメージがとっても浮かぶやすい副題がついています。この二つの作品に関しては、みんな共通して「昭和っぽい」と感じたんです(笑)。すごくノスタルジックなんですよね。僕たちは全員平成生まれですが、4人とも知らない時代の風景が、映像を見せられているわけではないのに、想起させられるところが本当に不思議です。

 

Q2. 弦楽四重奏について教えてください。

笹沼)前回僕たちがやったのって2019年でしたっけ?

(委員)2020年の1月です。

笹沼)えっ、そんな最近なの?

篠原)コロナになる前だったんだ。

(一同)驚き

笹沼)え、けっこう懐かしいメンバー(実行委員)いるよね(笑)

(一同)笑い

)ええと、弦楽四重奏の魅力ですよね。長い年月をかけてやっていると、他の編成にはないカルテット独特のシビアさというものを感じます。オーケストラのような大編成から縮小されていった最後の形が弦楽四重奏なので、音楽の核となっていることをすごく感じますね。

北田)私がカルテットが大好きな理由は、やっぱり、レパートリーがほんっとうにいい曲ばっかり、ということです。

笹沼)あれ、前回のインタビューで僕らなんて言ってました?蓋開けてみてまったく違うこと言ってたらつらいよね(笑)。

北田)同じなのもつらい(笑)

笹沼)まったく同じなのもつらい、でもブレてないのかな。

)たしかに、ブレてないってことだね(笑)

 

――― 弦楽四重奏ならではの一体感

笹沼)常設でやっていく弦楽四重奏は、究極的には完全に一体となった形というのが求められます。だからと言って、何かすり寄せていくわけではなくて、4人が同じ方向を向いて一つの響きや作品全体を構築していくものなんですね。

この一体感は、他の編成とは方向性がまったく違ったものだと思っています。例えば、常設ではない一期一会のアンサンブルや室内楽は、それぞれの奏者が作品の中で個性を出しながら対話を楽しみ、お客さんもそれを聞いて楽しむというのが魅力だと思います。でも(常設の)弦楽四重奏は、一つの集合体として聞こえることが求められるんです。

ご覧の通り、見かけも性格もまったく違う4人がそれをやるというのは、それはそれで作業として面白い…でも大変な点でもあるし…。だから、心を開いてやらないとなかなかね。それだけに、四重奏を聞くというのはお客さんにとっても、かなり集中力が要るものですよね。

 

 ――― カルテットは職人技

(委員)中さんがおっしゃた「シビア」というのが気になったのですが、ソロと四重奏のシビアさはどのくらい違うものですか?

)いや、全然違いますね。一人のときの緊張感ももちろんありますが、カルテットは究極の形なので、スキがないというか、隅々まで無駄がないんですよね。だから、全体を研究し尽くしていないと、それこそ一つの生き物にならない。そういうところに緊張感があります。

笹沼)ソロと言っても、無伴奏のソロと、オーケストラと一緒にやるコンチェルトと違ったジャンルがありますよね。その二つはやっぱり頭も身体も使うところが違うんです。コンチェルトにはオケと指揮者がいて、その第三極的な立ち位置にソリストがいる。そのトライアングルは必ずしも調和ではないというか…

北田引っ張る、みたいな?

笹沼)そう。引っ張っていったり、対決したり。

(委員)それは、私も見ていて面白いところです!

笹沼)ですよね。

)聴衆の皆さんにはわからないと思うんですけど、私たちカルテットは職人技をやっているという感覚があります。対決みたいな華やかなコンチェルトに比べると、カルテットでは目には見えないような地味な作業をしていて。

笹沼)一つ一つの作業がめちゃくちゃ地味。

(一同)同意

)聞いていてもわからない地味なところを極めていくのが求められるんですよね。

 

 ――― 習作と最晩年の作品

笹沼)これはよく言っていることですが、弦楽四重奏は作曲家が音楽の骨組みをつくって自分の個性を映し出す習作として書くものでもあり、オペラやシンフォニーを書いたあとの最晩年に遺される作品でもあるっていう面白い傾向があるんです。

(委員)ベートーヴェンとかもそうですよね。

笹沼)そうですよね。あとはフォーレとかも。そこにはきっと、弦楽器4本の響きというもの以上のメッセージが何か込められているのではないかと思います。

シンフォニーのように聞こえてくることもあれば、滔々と一人で一本の楽器が鳴っているように聞こえる瞬間もあって。そういういろんな面があるんですよね。だから、実はそんなに地味じゃない(笑)。本当は、面白いジャンルなんです。その面白さを出すというところを、僕らは上手くやっていきたい。

(委員)弦楽四重奏って、生まれるところと帰るところって感じなんですね!

(一同)まさにそんな感じです。

 

 ―― 生涯をかけて

篠原)北田さんが言ったように、カルテットの作品ってすごく多くて。私たちも組んでから6年経ってるけどまだレパートリーが少ないんですね。まだまだこれから勉強していけるところが弦楽四重奏の魅力だと思います。

笹沼)まだ主要なレパートリーのうちの10%もやってないよね。

篠原)たくさんの作曲家が遺してくれた弦楽四重奏を4人で勉強していくうちに、この作品のここが影響しているんだ、とか見えてくるものがすっごく多くて…。そうした勉強を一つ一つしながらアマービレの音を積み重ねていくことが出来ている、という実感があります。まだ6年目ですが、一生涯勉強できるというのも弦楽四重奏の魅力だと思っています。

 

 

ここで前編はいったん終わりです。みなさん、いかがだったでしょうか。

第8回のときには、桐朋音大にお招きいただいてインタビューと練習見学をさせていただきました。その時のご縁で、何人かの委員はすっかり顔なじみにもなり、委員をやっていてとっても良かったなと感じます!

 当時(2019年12月)のインタビューはこちらです。

recitaltsukuba.hatenablog.com

 

前回に引き続き、今回もカルテット・アマービレの躍進の秘訣が存分に詰まっていたインタビューになったのではないでしょうか。後編では、コロナ禍での音楽活動や今後の展望、国内外のカルテットのあり方についてなど、濃密な内容になっております。

 

第10回つくばリサイタルまで、約1週間になりました。まだまだ申込を受け付けております。十分な感染対策を実施して行います。

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文責:大吉(人文3年)