つくばリサイタルシリーズ公式ブログ

2024年6月9日(日) 第2回TRSサロンシリーズ『荒木奏美 染みわたるオーボエの調べ』 チケット→https://teket.jp/1479/33549

リサイタル曲目紹介!(第一回)

こんにちは。

リサイタルもあと10日を切りましたね。

そこで今回は『もっと楽しむ「ドイツ・ロマン派、珠玉のクラリネット名曲集」』

と題してリサイタルで演奏される曲目の紹介をしたいと思います!

 

第一回もっと楽しむ「ドイツ・ロマン派、珠玉のクラリネット名曲集」

クラリネットの誕生は18世紀初頭で300年ほどの歴史を持ちますが、木管楽器の中では比較的新しい楽器です。豊かに響く低音から明るく晴れやかな高音まで幅広い音域を持ち、機能性にも優れています。吹奏楽の世界でヴァイオリンに代わって大活躍しているのも、こうした機動力とヴァラエティに富む音色ゆえでしょう。

 

クラリネットの歴史を紐解いてみると、楽器の改良、性能の向上に伴って優れた奏者が登場し、それがきっかけで普及が進んでオーケストラに常駐する楽器へと発展していく様子が見て取れます。クラリネットの名曲の多くもその過程で生まれています。

 

おそらくクラリネットのために最初の歴史的名曲を書いたのはモーツァルトです。天上の奏楽ともいうべき、美しい「クラリネット協奏曲」や「クラリネット五重奏」は、当時ウィーンで活躍していたアントン・シュタードラーという奏者のために作られたものです。モーツァルトは彼の加わったアンサンブルのために「グラン・パルティータ」のような管楽器の名曲を残していますし、また交響曲でもたびたびオーケストラの編成にクラリネットが用いられています。

 

ベートーヴェンの後期の創作あたりから、音楽史の時代区分は古典派からロマン派へと移ります。明快なコントラストと形式性を持った創作から、より複雑かつドラマティックな効果や心理的な表現が重視されるようになっていきます。改良を重ね表現の幅を広げたクラリネットも18世紀の末から19世紀初頭に市民権を得て、ベートーヴェンの時代にはオーケストラにとっても不可欠の楽器になります。

 

今回のプログラム「ドイツ・ロマン派、珠玉のクラリネット名曲集」は、クラリネットが隆盛期を迎えた19世紀に作曲された名品を集めています。

 

演奏される作曲家と個々の作品を見ていきましょう。演奏会を十分に味わい楽しむには、事前に曲について知っておくことが重要です。各曲の説明の後に、オンラインで視聴できるナクソス・ミュージック・ライブラリーの音源を挙げました。これは有料会員制ですが、YouTubeなどに無料で聴ける音源もアップされていますので、必要に応じて検索してください。

 

 

カール・マリア・フォン・ヴェーバー(1786-1826)

「ジルヴァーナの主題による変奏曲」

 

ヴェーバーベートーヴェンと同時代人で、《魔弾の射手》を作曲して、それまでイタリアの影響の強かったオペラの世界に、ドイツ的なオペラの様式をもたらしたことで知られています。彼はまた、同時代のクラリネットの名手ハインリッヒ・ヨーゼフ・ベールマンと知り合ったことで、技巧を凝らした華麗な作品を生み出していきました。3つのクラリネット協奏曲をはじめ、彼が残した室内楽曲のうちおよそ半分がクラリネットを伴っていることからも、その協業がいかに実り豊かなものだったかが分かります。

 

「ジルヴァーナの主題による変奏曲」は、ヴェーバーの同名のオペラの旋律をもとにしたヴァリエーションで、ベールマンとの演奏ツアーのために1811年に作曲されています。主題と7つの変奏からなっています。

 

演奏はウィーンフィル首席クラリネット奏者のエルンスト・オッテンザマーが入れたものを挙げておきます。同じアルバムに次のシューマンの「幻想小曲集」も収録されています。


ウェーバー/シューマン:室内楽作品集(グラン・デュオ)(オッテンザマー/ウェーバー/シューマン:室内楽作品集(グラン・デュオ)(オッテンザマー/武本京子) - OVCC-00004 - NML ナクソス・ミュージック・ライブラリー

 

(第二回に続く)