つくばリサイタルシリーズ公式ブログ

2024年6月9日(日) 第2回TRSサロンシリーズ『荒木奏美 染みわたるオーボエの調べ』 チケット→https://teket.jp/1479/33549

中井&武田さん東京公演レポ⓶

f:id:recitaltsukuba:20211124204000j:plain

カスタネット
実はスペインの情熱的な楽器である

 

先日、実行委員3人で上野にて行われた中井&武田さんのコンサートに行ってきました!

ポスター担当佐藤からの感想をお伝えします。

「中井恒仁&武田美和子ピアノデュオリサイタル ピアノの芸術Vol.6 ストラヴィンスキー没後50年」@東京文化会館

 

私は初めての東京文化会館に到着すると、想像をはるかに超えた立派で綺麗な建物にびっくり。こんなところで演奏活動されているとは...と、デュオお二人の凄さを再認識するとともに、ピアノを弾いている身としても尊敬&羨ましくなりました。

 

会場のホール内に入ると、舞台を扇形に囲む客席と、岩壁を模したモダンな内装が印象的でした。第1部「春の祭典」の原始的・儀式的なイメージにちょうど合っており、ムードがあるなあと思いながら席に着きました。演目は20世紀前衛クラシックの旗手ストラヴィンスキーゆかりということで、あまり聴いたことのないタイプだったのですが全く予想できないのがかえってどうなるか楽しみでした。

(一方、春の祭典 は初演時、斬新さのあまり会場が発狂状態になったということだけ教科書で覚えていたので、「自分はマトモに聴いていられるんだろうか...(笑)」と一抹の不安も抱えつつ..)

 

照明が暗くなるとともにステージに中井さんと武田さんが笑顔で登場し会場が拍手に包まれました。ポスター制作時にお二人の写真を幾度となく見ていた筆者は「本物だ!! 動いている!!」という状態でした(笑)

 

演奏は、武田さんの静かで幻想的な単旋律で始まりました。ホールでの生演奏の素晴らしいところの一つは、大きな音が大迫力で響くのはもちろんのこと、ごく小さく静かな音まで、驚くほどはっきりと聞こえるところです。皆が静かに聴き入っているあいだ、会場のすみからすみに広がる空気の振動まで感じ取れるようでした。

 

ところが開始後まもなくすると、中井さんがステージにトラブルを発見したようで、ふと演奏を中断する事態になりました。会場は一瞬ざわつきましたがまた静かに見守っていました。私も心配に見ていましたが、迅速に手際よく解決したようで、再度ステージに二人が登場すると会場が一層の拍手で迎えました。演奏者と観客が一心同体になって同じ時間を共有しているんだと実感した瞬間で、これもライブの魅力だと感じました。

 

そこからの演奏は、本当に素晴らしくてあっという間でした。「春の祭典」は、これまで聞いた事もないような響きやリズムが次々に飛び出してくる確かにとても不思議な曲でしたが、曲名も参考にしつつ聴き入っているうちに、それが表現しようとしている曲の世界が伝わってきて、徐々にすっと入ってくるようになりました。激しい盛り上がりの部分と息をのむような神秘的で静かな部分とのコントラストがスリリングで引き込まれ、面白いなと思いながら聴いていました。どんな曲でも弾きこなして聴かせられるお二人の手腕に感服です。

 

第2部、バルトーク作曲「2台ピアノと打楽器のためのソナタ」も、これまた衝撃的な曲でした。ピアノという楽器が、きらきらした音が出る打楽器とでもいうように捉えられていて、いわば 4つの打楽器のためのソナタ のような新鮮な感じでした。

ちなみにバルトークは、地方の民俗音楽の収集と、それを大切にした子供の音楽教育に力を入れたハンガリーの作曲家で、なんと日本の曲も「さくらさくら」や「かごめかごめ」などを採譜して教材に使ってくれています。音楽のスタンダードを西欧の音楽だけに限らない広い見方を持った人でした。

よければ代表曲「ルーマニア民俗舞曲」がおすすめなので聴いてみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=DscctOyPzh8 (←ピアノ演奏はバルトーク本人!)

2台ピアノと打楽器のソナタに話を戻すと、この曲で一番面白いと思ったのが、ずっとリズム性を強調してきた曲の最後の最後で、ふと打楽器が音量を下げて減速してゆき、どうなるのかと思っていたらここでピアノがものすごく丁寧に「チャン、チャン♪」と弾いて曲が終わったところです。「最後その終わり方 !? .. か、かわいすぎる..」と、バルトークの不意打ちのユーモアとハッピーエンド感にやられた人は多かったと思います(笑)

 

 

ここまででプログラムは終了しましたが、満場のカーテンコールと中井さんの謝辞があったあと、なごやかな雰囲気のなかアンコールへ移りました。中井さんが「ストラヴィンスキーのタンゴを」と言うと会場から「おお(喜)」という声が聞こえました。

f:id:recitaltsukuba:20211124200152j:plain

タンゴ!! (イメージ)

2台ピアノで、中井さんと武田さんがキレのあるリズムを弾き始めると、それはそれはカッコ良かったです。ピアノソロ版なら知っていたのですが、特にタンゴのビートは2台のピアノの音が重なり合って鳴ると桁違いに情熱的でした。さらに途中からはステージ左右からタンバリンとカスタネットパーカッショニストも登場し(おなじみの楽器ですが侮れません。魅せる演奏で視線を釘付けにしてました) 聴くのも見るのも、最高に華のある演奏でした。会場が大盛り上がりになったところで、ラストのアンコール曲「剣の舞」が披露されました。観客はもう踊り出したくてたまりません(笑) エンターテイナーとしても一流のピアノデュオだと感じました。こうして興奮のうちに無事コンサートは終演しました。

 

 

あっという間の2時間の 大大大満足のコンサートで、約2か月後つくばに来て演奏して頂けるのがますます楽しみになりました。

 

ちなみに来月はデュオのお二人にインタビューを行い記事を公開する予定ですのでそちらも楽しみにお待ちください! ほかにも公演本番まで約2か月、楽曲解説やラジオ出演等、実行委員は活動を加速させてまいります!

 

さいごになりますが、クラウドファンディングに関し、おかげさまで目標額¥100,000を達成する事ができました。実行委員一同、心より感謝申し上げます。引き続き12/9まで募集しておりますのでこちらもよろしくお願いします。

https://readyfor.jp/projects/tsukuba-recital-11

 

チケット予約もまだ受け付けておりますのでお申込みはお早めに!

https://teket.jp/1479/5971

 

随分長くなってしまいました🙇 読んでくださってありがとうございました。

 

文責: 佐藤 (人文2年)