つくばリサイタルシリーズ公式ブログ

2024年6月9日(日) 第2回TRSサロンシリーズ『荒木奏美 染みわたるオーボエの調べ』 チケット→https://teket.jp/1479/33549

The MOST in JAPAN 2020 東京公演レポ②

続いてはもう一人の実行委員の勝俣がお送りします。

 

演奏会の感想を書く前に、最近の身の回りのことを書かせていただこうと思います。私は高校生の頃から学生券にお世話になりながらクラシック音楽のコンサートに頻繁に通っていました。しかしながら、この度のコロナウイルスによって、従来のように音楽と関わることができない状況になってしまいました。音楽は人々が集まって行うことがその基本的な存在基盤であるはずですが、コロナウイルスによって、その基盤を人々は当たり前に守ることができないという時代状況となりました。このように人々が集まれない状況は、音楽とは何か、あるいは何であったかという問いを音楽に関心を持つすべての人々に向けさせたように思います。私自身は、“自粛“期間中には、生の音楽が聴けない状況に半ば失望するような思いから、クラシック音楽そのものから遠ざかっていました。

 

“自粛“が空けてからは、万全な感染対策を行なった上でのコンサートが徐々に開かれるようになりました。

先月に私は初めてコロナウイルスが世に蔓延した状況下でのオーケストラコンサートに赴きました。舞台上の演奏家の方々は肘と肘をぶつける新しい「握手」をし、聴衆はブラボーを言う代わりにブラボーの文字が書かれたブラボータオル(?)を掲げるなど、どんな状況になっても臨機応変に対応しながら文化が継続していく姿を目の当たりにし、音楽の人類的な必要性(と言うとややオーバーな感じもしますが、それ以外に言いようがありません)を感じてきたところです。

 

さて、前置きが長くなってしまいました。

前述した状況の中で、個人的にはコロナ後2回目のコンサートになりました、The MOST東京公演の様子をお伝えします!

 

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プログラムにつくばリサイタルのチラシを挟んでいただきました!

 

10月7日夜、東京の上野では雨が降っていました。

先の用事があり、会場である東京文化会館小ホールには遅めに到着したのですが、会場ではThe MOSTメンバーによる開演前トークを行っていたようで、途中から拝聴しました。

福田さんは「自分たちよりもさらに若い音楽家を育てたい」とおっしゃっていましたが、福田さん自身は「4日後に誕生日」とのことで、おそらく私がこのブログを書いている10月11日に21歳になられたと思います。(お誕生日おめでとうございます❗️)

 

一曲目、モーツァルトアイネ・クライネ・ナハトムジーク。全員が立って楽器を弾く(まるで全員がソリストのような)力強い演奏は、人々の耳に馴染んだ曲を別様に響かせました。音の強弱の幅が広く、それを合わせる演奏者間のタイミングもぴったり合っていたため、ドラマティックに音楽が展開していくところに独自性を感じました。

二曲目、バッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲。1、2、3楽章を10代のヴァイオリニスト3人がそれぞれ交代でソリストを務めました(ソリストは、1楽章が菊地万莉香さん、2楽章が中村僚太さん、3楽章が田中友梨さん)。音が鳴る瞬間、三方のヴァイオリンからはそれぞれあまりに美しい音が出るので、各楽章ごとに驚きました。

 

休憩を挟んで

 

三曲目、佐藤晴馬さんのチェロ独奏と弦楽によるドヴォルザークの「森の静けさ」。佐藤さんの独奏はまさに渾身の演奏であり、あっという間にチェロの魅力がつまったこの曲の世界に引き込まれ、穏やかな風景の中に自分たちがいるような気がしました。

四曲目、福田廉之介さんのヴァイオリン独奏と弦楽によるチャイコフスキーのワルツスケルツォ。福田さんがヴァイオリンを弾いているのを見ていると、ヴァイオリンはとても簡単なんじゃないかと思えてきます(簡単なはずがありません)。演奏は曲調に合わせて変幻自在に表現され、最初から最後までその表現を楽しみました。

ラストはチャイコフスキーの弦楽セレナード。大人数の弦楽オーケストラでも演奏される曲ですが、The MOSTは12人という人数で大迫力の演奏を繰り広げました。アンサンブルによって引き出される力のすごさを感じました。

 

アンコールは、曲名は分からなかったのですが、全てピッツィカートによる音楽でした(親しみやすいメロディだったので、覚えて今も頭の中で鳴らしています)途中で笛やベルなどの様々な音の出る小道具が出てきてとても楽しかったです。

 

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会場入り口のお花

 

全体的な感想を述べると、The MOSTのメンバーの方々は本当に心から欲するように楽しく音楽を演奏し、アンサンブルをしていて、その喜びがひしひしと伝わってくる演奏会でした。演奏を聞いた私自身もとても楽しく、元気が出ました。

 

最初に先月のコロナウイルス下の演奏会で音楽の人類的な必要性を感じたと書きましたが、今回のThe MOST東京公演はそれを改めて強く感じさせるものでした。

素晴らしい演奏をされた福田さんをつくばリサイタルシリーズにお呼びできることがとても楽しみです。

皆様も12月12日の演奏会をぜひお楽しみください。

それでは!

 

人社M2 勝俣